患者さんの希望を叶えるために

訪問診療2024年10月28日

こんにちは、のぞみハートクリニック 在宅療養支援室 ソーシャルワーカー松井です。

当院の訪問診療部には、医師、看護師、理学療法士、ソーシャルワーカーで構成された「緩和ケアチーム」があります。定期的なミーティングで、ターミナル期にある患者さんの病状について、その方の生活をどう支えていくかを検討しています。

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先日、私たちが訪問診療で支援させていただいている患者さんが、「大好きなミスチルのライブチケットが当たったけど、こんな体じゃ行けないから行くのを諦めようと思っている」ということをポロっとお話してくださいました。

がんで闘病中の50代女性Aさんです。
少しずつ体の自由がきかなくなり、諦めなければならないことも増えてきていました。
早速、院内のカンファレンスにて、病状、生活、想いについての話し合いを行い、スタッフ満場一致で「ミスチルのライブに行かせてあげたい」、これは諦めたくないと強く考えました。
話し合いを重ねることで、ライブへの参加の可能性は見えてきましたが、そもそもチケットはAさん分の1枚しかないという問題がありました。
運営側に問合せをすると、「付添い者も車いすスペースに一緒に入っていただけます」との返答でしたが、チケットがあるということが大前提でした。協議をしていく中で、タイミングよく、チケットのリセールが開始されました。院内のスタッフに「当選したら付き添いでコンサートに行ってくれる人」を大募集したところ、多くのスタッフが手を挙げてくれ、運も私たちの味方をしてくれるかのように奇跡的に3名が当選しました。

Aさんは、体調不良が続いていてコンサートは無理かな...と思っていたところだったようですが、「のぞみハートクリニックのみなさんが私のために動いてくれていることが本当に嬉しいです。もしうまくいかなくても、みなさんのお気持ちが嬉しいです」と涙を流して喜んでくださいました。また、「絶対に行きたい!体調を整えて当日を迎えたい」と強い言葉も聞くことができました。ライブ当日を迎えるまでは、当院のスタッフだけでなく、福祉用具の業者さん、ケアマネジャーさん、併診していた別の医療機関の医師や看護師さん、関わる皆が、同じ方向を向いて、病状が安定するよう丁寧な管理をしてくださいました。

そしていよいよライブ当日です。
あらかじめ打ち合わせをしていたため、コンサート会場の方との連携もスムーズでした。
満面の笑みで「行ってきます」と会場の中へ向かう姿を見て、終演まで体調を崩すことなく楽しめるように祈りながら見送りました。

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残念ながらチケットの外れた医師、理学療法士と会場外で待機し、付き添いの看護師から「今終わりました!元気に楽しめました!」と連絡が来たときは本当にほっとしました。
戻ってこられたAさんは大興奮で、あの曲が良かった、歌ってほしい曲がアンコールで流れたときは涙が出た...などとても良い顔でお話してくださいました。

私たちソーシャルワーカーは、できるできないではなく、どうすればそれができるかを考え、病気だけでなく患者さんの人生そのものに注目し、必要な支援を考えていくソーシャルワークを行っています。

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今回、Aさんの想いを叶えるための支援を通じ、普段のコミュニケーションによる信頼関係の構築、医療・介護スタッフによる体調管理と細かなケア、連携機関とのチームワーク、そして何より患者さんの想いを叶えるお手伝いがしたいという当院スタッフの強い絆を感じました。

今後も、患者さんやご家族の想いや希望に寄り添い、のぞみハートクリニックのチーム全員でサポートしたいと考えています。

※患者さんの了承を得て、掲載させていただいています。

 

のぞみハートクリニック
在宅療養支援室 ソーシャルワーカー 松井

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