YUMINOのひと - ソーシャルワーカー 斎藤慶子 -
YUMINOの特徴の一つに、ソーシャルワーカーの存在があげられます。「在宅療養支援室」を立ち上げ、退院支援、地域との連携、患者家族の相談、そしてなによりYUMINO内のバランスを保つうえで重要な存在のソーシャルワーカー(以下、SW)を束ねる、斎藤室長にお話を伺います。
- 斎藤さんがYUMINOに入った経緯を教えてください。もともとYUMINOに興味があったんですか?
- 全然!YUMINOのことは知らなかったし、循環器の知識もありませんでした!
- そうなんですね!どうやってたどり着いたんですか?
- もともと大学病院や総合病院のSWとして相談業務を行っていて、外来の患者さんの経済的な問題や、制度の申請、生活相談など、オープンなカウンターに座って、日々様々な方のお話を聞いていました。また、入院中の患者さんの転院や退院に関する相談も多く受けていました。ほとんどの患者さんが「家に帰りたい」と気持ちを打ち明けて下さるのですが、1人で身の回りのことが出来なくなると、家に帰るのを諦めてしまう方も多くいました。主治医の先生や看護師さんに相談しても「帰してあげたいけど仕方ないよね」と言われてしまうこともあり、患者さんの帰りたい思いを実現できない日々に不甲斐なさを感じていて...。そんななか、地域の協力や、地域の声が上がれば退院支援がスムーズに進むことに気づきました。「地域からの声は、病院を動かせる」と確信を持っていました。でも、あまりにも地域にSWが少なかった。
(2019年撮影)
- それで自身が地域にでようと?
- はい。病院と地域のSWがタッグを組むことで、ひとりでも多くの帰りたい患者さんを退院させてあげることができるのではないかなと。そんな思いで地域でソーシャルワークができる医療機関を探したところ、YUMINOを知りました。
- 循環器クリニックであることに不安はありませんでしたか?
- 私たちはあくまでも福祉職なので、医療の知識ではなくて、在宅の患者さんの人生にどれだけ寄り添うことができるかが重要です。「循環器」だからという不安は全くありませんでした。
- 地域のSWとして活動を始めて、いままでとの違いや苦労はありましたか?
- 病院でのソーシャルワークも、地域でのソーシャルワークも大きな違いはありません。考え方として、病院は「まず疾患」でしたが、YUMINOが行っている訪問診療は「そのひとの人生」、それをどう支えるのかという違いがあります。また、地域で支えていくには、1医療機関だけではなく、様々な方と連携する必要があります。違う事業所の方と、いかに同じ方向を向いて患者さんをサポートできるかという難しさがありますが、同時に大きなやりがいや、楽しさを感じることができます。
- 地域で医療SWとして働くうえで、必要な知識などはありますか?
- その質問、よくされるんです!でも、SWに知識はあまり必要ないと思っています。わからないとき、困った時、どこに問い合わせをしたらいいかの引き出しを、どれだけ持っているかが重要。柔軟な対応ができるかを求められる場面が多いですね。
- 今では10名のチームになった在宅療養支援室ですが、チーム作りの上で大事にしていることはありますか?
- 「患者さんのために最善だと思う行動を、勇気をもってできるチーム」として成長していきたいと思っています。医師の指示や方針だから、ではなくて、「患者さんがこう生きたいと思っている」ということにどれだけ寄り添うことができるか。在宅の良さは枠にとらわれずに支援できることなので、それをチームのみんなには楽しんでほしいです。
- 10名のSWはどんなメンバーですか?
- なんといっても売りは「各分野のスペシャリスト!」前職が皆ばらばらで、急性期、回復期、地域包括、療養、緩和ケア、精神、地域、介護... SWが活躍する全分野の経験者が集まっているので、なんでも相談しあえるメンバーです。この経験の違いのおかげで、東京・大阪間でも相談したり交流が盛んに行われています。 それともうひとつは、「ポジティブさん」と「ネガティブさん」の存在。みんなキャラクターが豊かで、ポジティブ派とネガティブ派に分かれています。このおかげで、患者さんの様々な側面に気づくことができます。ミーティングでも両者がお互いの思考の違いを活かして議論が生まれ、チームで高め合うことができています。
(2019年撮影)
- SWの存在はYUMINO内のバランスを保つうえでも一役買っていますよね
- ひとりひとりがとても穏やかなので、院内での多職種連携やコミュニケーションを取るうえでも活躍してくれています。このメンバーは、私の自慢です!
- 最後に、心不全相談支援センターについて、教えてください。
- 心臓の病気をもつ方が、安心して生活できるようにとの思いで、全国どこからでもご相談いただける窓口を開設いたしました。患者さんの枠にとらわれずに、ささいなことでもご相談いただきたいです。まだまだ心不全に関わる支援の輪は地域に浸透していません。ひとりで抱えこまずに、助けを求めてもらえたらと思っています。これからますます、個別、組織、社会の三段階で地域を支えていけるチームを作っていきたいと思っています。
ーーー 心不全相談支援センター ーーー
ご相談フォームと、お電話でのご相談をお受けしております。