認知症のある患者とのコミュニケーションスキル

2020年01月11日

新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

今回、看護部横山より昨年11月に行われた日本循環器看護学会の注目トピックを2回シリーズで報告させて頂きます。学会運営委員でしたので、あまり聴講できませんでしたが、とても良い経験になりました。大会長の眞茅先生には心より感謝申し上げる次第であります。

シリーズ前半は、

蛯名由加里先生1)(北里大学病院)の教育講演

「認知症のある患者とのコミュニケーションスキル」

についてです。認知症とは、老いにともなう病気の一つです。さまざまな原因で、記憶・判断力の障害などが起こり、意識障害はないものの社会生活や対人関係に支障が出ている状態をいいます1)。我が国では高齢化の進展とともに認知症の患者数も増加しており、今後も認知症は増え続けると予想されています2)。認知症には、「中核症状」「行動・心理症状」の二つの症状があります(図参照)。「行動・心理症状」は本人がもともと持っている性格や環境、人間関係など様々な要因がからみ合って起こる、うつ状態や妄想といった心理面・行動面の症状です。今回の蛯名先生のお話で印象深かったのは、"「行動・心理症状」は問題行動と判断しがちだが、本人にとっては不安や困惑への対処行動である"ということです。私どものクリニックでも認知症の方へ対応させていただくことが多々あります。「認知症のある方へは、電話での看護は困難」という報告もあり、できるだけ直接対応したいのですが、クリニックを離れることができないことも多く、やむを得ず電話対応を行っています。そんな日常業務の中で以下のようなやりとりが時々あります。

当日訪問診療の予定ではない方からクリニックに、

「今日は何時に先生はいらっしゃいますか?ずっと待ってるのですが。。。」

という問い合わせが何度も来ることがあります。このような問い合わせは一見すると、単なる物忘れのようにも思われますが、認知症による「行動・心理症状」の症状と考えると、何かしらの"不安や困惑への対処行動"である可能性が考えられます。どういった不安があり、医師の診察を待ちわびている状況になっているのか?という視点で考えると、また違った側面からその方のサポートを行うことが可能となります。問い合わせがどういう状況で生じたのかをまず考え、ご家族、訪問看護やヘルパーなどと話し合い、どう協力すべきか、どう情報を伝えて対応・調整するのかなど、地域で支えていけるようなコニュニティーづくりが必要であると再考しました。

年始からなんだか難しい話になってしまったかもしれませんが、今後も在宅療養をされている方々の生活に寄り添った看護が提供できるよう、少しでもお役に立てればと思っております。次回シリーズ後半も宜しくお願いいたします。

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1)老人看護専門看護師をされながら循環器病棟で勤務されていらっしゃいます

2)厚生労働省HPより https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html

 

看護部 / 横山

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